サクラノ詩 review

サクラノ詩の当初発売予定は2004年。
11年前って何してたかなーと思い出す程度には感慨深い作品です。
すかぢさんのTwitterで出るかも出るかもといわれていたけれど、にわかに信じられなかったですが出ましたね。
もちろん枕信者である私は買うことを決めていましたが、予約特典の購入先に悩みました。
結局メロンブックスの藍B2タペストリーにしましたが、あの時の直観は正しかったと褒めたい……!
枕のゲームは何度かレビューしていますが、信者補正が入りすぎている感が否めません。

サクラノ詩 櫻の森の上を舞う / 枕
Playtime: 32H
9.1 / 10.0

アダルトADVゲームの面白さの評価はシナリオ・イラスト・音楽・世界観・システムで評価していますが、サクラノ詩はどれも高い点数だったので今回は高評価になっています。
特に音楽が素晴らしい。
しかし作中シナリオの文章は衒学的なので、完全に人を選びそう。

個人的には終わり方がとてもすっきりしました。
まるで桜のトンネルを抜けた後の青空のように。

今回はネタバレを少々含むため閲覧する際にはご注意ください。

シナリオについて

ルートが半固定化されています。
I→II→III(各個別√ 凛、真琴→里奈+優美→雫)→IV→V(藍)→VI ※凛と真琴はどちらが先でも良い。
IとIIで√攻略後に増える選択を選ぶことで新たな個別√に入っていきます。
IVとV、VIについてはタイトルから進みます。

すかぢさんのシナリオは前述したとおり、とても衒学的だと思います。
本の引用や作中のオリジナル詩が結構出てきたりと頭を使うことを強いられますが、そういった表現から色々と想像を膨らませて邪推する面白さが私は楽しかったです。
もちろんすべての伏線が回収されたかどうかは、私の頭では取りこぼしがあると思いますが、概ね回収されているのではないかと思います。

そして何より最近のアダルトゲームにありがちな、「ごく普通の特徴もない主人公がなぜかモテモテ」っていう没個性テンプレートではなく、元神童の空気読める気回しイケメンという隙のないホレさせ主人公なのは、私は枕のゲームが好きな理由の一つです。
「出会ってすぐに好感度MAXになる謎のヒロイン」はよく、なんだそりゃ!って思いますが、それらもすべて「そりゃイケメンだから仕方ないわー。股クパァとかまで辞さないよね」とアダルトゲームにはびこる無理やり設定を実力行使で灰燼に帰すイケメン好き。
ヒロインの凛も主人公で妄想したり、触られたりするだけで股が濡れるというとんでも設定ですが、仕方ない。もう仕方ないよ。
すべてを超越したイケメンの前では、惚れた女性は自分からまな板の上に行って料理待ちしてしまうんだ。
おかげで何の抵抗もなくそういう設定のシーンを読んでいました。死んだ魚のような目で。

ただしイケメンに限る。なんてのは現実だけでなくアダルトゲームでこそ適用されるべき理論だと私は強く主張したい。
プレイヤーの分身だからと没個性にする必要はなく、むしろプレイヤーの分身だからこそ理想のイケメンにした方が良いと思うんですよね。

ちなみに各種ヒロインの√は完全に「そうなったかもしれない未来というパラレルワールド」みたいな√です。
ただその√に進む前に、主人公が過去にヒロインたちにしてきたことを見ることができるという感じです。
ネタバレ要素強すぎて大まかなあらすじしか書けない…。

■御桜 凛 / III Olympia

主人公が好きすぎて親の都合で転校したけど、転校して会いに来るヒロイン。
とだけ書くとすごいテンプレ感が溢れる。

ちなみに凛は他ヒロインの√でも出てきます。
そして毎回諦めて応援するね。となるわけですが…陰ですすり泣くメインヒロインいいぞぉ……
もちろんそんな描写はないのだけど、ただ暗にそうなるよねという表現を感じます。
選ばれているヒロインがうしろめたさを感じている何か。

全てヒロインは個別√で過去の出来事が語られ、現在で解決して結ばれるという一連の流れで進みます。
ただ凛だけに限っては雫の個別でも語られ、そしてメインストーリーでも……という、もう一人の主人公のような扱いになっています。

話がそれましたが凛√では、過去の記憶障害の改善が主題になってます。
凛の実父との不仲、主人公の利き腕がもう既に絵を描くことができない理由は凛の幼少期の事件に起因する。といったお話しになっています。それらはIIで出てくるスイという幼女の記憶探しから始まり、凛の幼少期に起きた事件を思い出すことに繋がります。

■鳥谷 真琴 / III PicaPica

美術部の現部長で、主人公のクラスメイト。
そして主人公が良く食事に行く喫茶店の店員。

初めは凛に遠慮して好意を隠しているが、凛に後押しされて前向きになっていく。
真琴のシナリオは、主人公たちの通う学園の校長と夏目圭を軸に描かれます。

シナリオ中に、罰ゲームとしてデッサンのモデルをさせるCGがあるのですが、ここで着衣のまま裸のモデルにするというシーンが。
真琴は一番の巨乳キャラなので「乳首はどんな形だ!」と妄想を加速させていき、陥没やら乳輪大き目やら母乳を出したりと妄想しまくります。
枕主人公の作風なのかエロ方面にアホで大好きです。

■氷川 里奈+川内野 優美 / III ZYPRESSEN

里奈と優実は幼少期の主人公を知る新入生の後輩。
優実は里奈の友達(レズ)で恋敵として主人公が嫌い。
里奈のシナリオはこの二人が主軸となり、両方の視点から語られます。
過去編として二人の幼少期が語られるのと同時に、二人が見る伯奇の夢も語られます。
過去の話の中で主人公の中二病的なカッコツケ幼少期が見れますが、これも枕の作風なんですかね…。

最後の選択で優美を選ぶとレズENDとなり、選ばなければ主人公と結ばれる√となります。
個人的にはサクラノ詩で唯一のめり込まなかった√でした。
伯奇の話は雫に帰結しますが、結局どうして里奈と優美が伯奇の夢を見ていたのかが理解できなかった…。

■夏目 雫 / III A Nice Derangement of Epitaphs

雫は物語開始時に夏目家に住みはじめるニ女。さらに現役学生での女優芸能人。
里奈√で語られる伯奇の存在とスイに関する謎、凛の才能を主軸とした本編開始前の時間軸が主な舞台となり語られます。
主人公は冒頭からどこか雫を知っているかのような描写が多々ありますが、なぜ雫の芸名が主人公と同じ「草薙」がついた「草薙葛佳」なのか、この√で色々と物語の伏線を回収する中核の話になっています。

■IV What is mind? No matter. What is matter? Never Mind.

主人公の父親過去話から始まる父親過去編。
夏目家の謎と、主人公の母親について語られます。
それと同時にIIで話だけ出てきた草薙佳一郎の「横たわる櫻」の隠された6枚の絵の謎と、主人公と明石が起こした事件の話などさまざまな伏線が回収されていくメインシナリオのチャプターです。

特筆すべきは主人公の母、水菜の裸婦シーン。
エロイ(直球)。
なんでエロシーンないのかorz

■V The Happy Prince and Other Tales

藍は主人公にとっては姉のような存在。
主人公が再び絵と向き合い、そして失い、別れるチャプター。
作中で一番熱い感じはするけれど、そのあと突然冷水をぶっかけられるという落差も中々良いと思います。
そのお陰で興醒めしがちな要因であるのに、煙のように消えていくという表現が合うような、何とも言えない余韻を残したままVIに繋がります。

しかし藍√がこんな後ろにあると誰が予想したというのか…。
藍と主人公の年齢差って恐らく12歳以上だと想定されるので、藍からは主人公の好意に対して引け目のようなネガティブ発言が多い。
だがロリ年上キャラはもっと流行ってくれ。
しかもこういう「私とは年齢差があるだろう…!」っていう悲しみすら感じる展開が良いです。良いです。

肝心の恋人√はお預けされた分期待度も高まるが、BAD-EDのような扱いになっているのでそこまで盛り上がりません。
どちらかというと藍の真骨頂はVIの最後にあった気がする。
あとコレ。

現実が辛い

藍いい…。

■VI

どのヒロインとも結ばれなかった√という名のメインシナリオ最終チャプター。
主人公は父親と同じく、母校の非常勤美術教師となり怠惰に過ごす。
教え子や、里奈と優美の妹達で、美術部を新たに再度立ち上げるという話を主軸に動き始める。

しかしここで新規登場する桜子がかわいい。(カバー右のピンク髪)
なんですか最後にかわいいキャラだして、エロなしとか…。

大人になった主人公の話って結構好きです。

余談その1
そして超絶個人的な趣味ですが、当て馬キャラとして本編に何度も登場する長山香奈が好き。
いっそ長山香奈√とか作ってくれても良かったのに…。
枕の当て馬キャラって魅力的な子が多い気がする。

余談その2
優美の妹がきのみ聖さんで、私はちょっと嬉しかった。

CGについて

イラスト関連に関しては完全に信者補正入りますが、私は大好きです。
とはいえど、エロいか?といわれて、さらにエロゲーの本来の目的であるエロ使用用途で考えるとどうなんだろう。
性癖の好みでしょうか。

個人的に一番エロさを感じたのは、主人公の母親の裸婦画像モデルのCG。
ロケットおっぱいが目に刺さる!
もちろんエロCGはありません…。

BGMについて

OPから良いですよね…。

このOP映像についても葵乙夜[Mju:Z]制作で素晴らしいクオリティなのですが、映像の意味がゲームを進めるたびに分かるというのも、今回の評価が高かったところに含まれています。
深読みしすぎかもしれませんけど、初めの鏡面化って凛のアレが元になってるのかなーって思ったりもして、こういう邪推要素がたぶんに含まれているのも面白かったところです。

OPの楽曲もはなさん+szakさん+すかぢさんというゴールデンタッグなので何度でも聞ける良さがありますが、それでも作中BGMがここまで良いと思ったのは、BALDRSKYの[Easiness at time(Abyssal Ver.)]以来ではないだろうか。
衝撃的なシーンに印象に残る楽曲の組み合わせは素晴らしいですが、今回のようにやさしく世界観を作る楽曲もまた素晴らしいです。作中への没入感を高めてくれるという面で見て今回のサクラノ詩の楽曲でピアノが主旋律となっている物はどれも良いなと感じました。
個人的にはタイトル画面での楽曲が変わる前に流れていた「美しい音色で世界が鳴った」は初回起動の際に、思わず聞きほれてしまい2回ほどループしました。
こういうまるで階段を上るようなイメージがわく音楽好きです。
サントラが出たら欲しいですね。(コミケ販売だとすると冬コミは行かないといけないでしょう…)

システム

スキップの利便性がもう少し良ければなーと思うくらいで特に何も問題ないと思います。
少し古いシステムかなと感じることはあれど、それは11年前から制作進行していたと思えば、当然のことかもしれません。
最新主流のバックログからシーンにジャンプすることもできますしね。

総評

ここ数年でいえば間違いなく名作としてあがると思います。
サクラノ詩は次作のサクラノ刻で完結とのことでした。(特典のヴィジュアルブックに書いてました)
素晴らしい日々の1.5倍のテキスト量と腰を据えてプレイする必要はありますが、最後までやりごたえのあるADVゲームだと思います。(ヒロインはどの子も可愛いですし)
秋の夜長や冬のコタツでアダルトゲームも良いと思いますので、是非。

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