君と彼女と彼女の恋。 review

6月の問題作をさっさとレビュー。
プレイ後にライナーノーツというWebページに移動できて、そこではスタッフのコメントが見えます。
その中に下倉バイオさんの物も当然あるのですが、書かれている通りこの作品は「アダルトゲーム」に挑戦している作品だと思いました。

totono

■君と彼女と彼女の恋。 / nitroplus
Playtime : 7h
7.0 / 10.0

色々問題がある作品だと思いますが、私は大いに楽しめました。
欲を言えばですが、私はこの話ならば違う絵師の方がいいと思います。

“ととの”はシステムレベルでのギミックが多く仕掛けられていて、アダルトゲームと言えば紙芝居が当たり前という現状に、「ゲームってのはこういうものだ!」と挑戦していてとても楽しめます。
そいったギミックの多くはゲームの画面内にノメリ込んでいれば高い効果があるのに、少し退いている状態では変わった演出レベルになってしまう。
津路参汰さんが描くキャラクターに不満があるわけではないですが、個人的には魅力を感じなかったこともあり、プレイ中に俯瞰しやすく演出ギミックが私に上手く作用しなかった。その結果若干点数が落ちている感じです。

ココロを砕きにくるアダルトゲームは好きですか?

■シナリオとか
“ととの”はタイトルに強くコンセプトが入っています。
アダルトゲームを全否定するわけでないけれど、コンセプトがないゲームが増えた気がします。悪い例として出すのもアレですけど、“少女神域∞少女天獄“は結局何が言いたかったのかすら分からない作品でした。(さりげない死体蹴り)

“ととの”のコンセプトは、「二次元美少女ゲームのキャラクターに恋していますか?」だと思います。
毎月最低でも5本以上のアダルトゲームが発売され、中には名作や良作と評価をされる作品もあります。しかし登場キャラクターの「○○ちゃん最高!嫁!」って発言を最近とんと見なくなった気がします。
アイドルマスターシリーズには各キャラクターに多くファンがいるし、同じアダルトゲーム業界だとFateシリーズのキャラクターは根強い人気です。一昔前の作品と比べると最近発売されたゲームでそういったキャラクターの○○がいい!ってのは発売後一時的にはあっても後々残る程ではない物が多いですよね。

おそらくプレイしていても感情移入できない。とか飽食すぎるために飽きてきたために、「この程度のキャラクターは俺の嫁にはふさわしくない」という美食的な感覚なのかもしれないけど、私は願望的すぎてキャラクターに人間性がないためじゃないかなと思っています。
この話は私が好きな“されど罪人は竜と踊る”でもあるのですが、

私が作った人格と物語は、私の予想を何ひとつ超えない。自尊心の充足も肉の快楽も、どこまでも私が設定した通りなのだ。妄想はどこまでも妄想であり、私は私でしかなかった。
そこには意外性も希望もなかった。そして絶望すらも。どこまでも平坦な紙芝居の世界なのだ。
永遠の楽園は、予定調和の牢獄に過ぎない。

結局、意外性や驚きがない限り紙芝居は飽きてしまうわけです。最近はとくにシナリオの先がプレイ中に読めてしまう。オチが見えるといった評価を良く聞きます。
このあたりがアダルトゲーム業界はもう終わる終わると言われている理由かもしれません。

さて前置きが長くなりましたが“ととの”の話です。
つまりこれらの要素に対して真っ向からぶつかったというか、反対側から掘ってきましたという感じです。
現実世界のプレイヤーたる私たちが二次元という画面の向こうの世界に恋をするのではなく、二次元の女の子が現実世界のプレイヤーに対して恋をする。なんともユニークな発想だと思います。

「今セーブしたよね?」とか「あとでやり直そうって思って選択肢選んだよね?」とプレイヤーに確認するように話しかけてきます。
まるでゲームのウィンドウを通して、二次元の世界とコンタクトをとっているかのような感覚を覚えますので、このあたりで画面内の世界にノメリ込んでいればきっと楽しめるのだろうなーと思うギミックです。
クリックがまったく効かずにゲームを終了↠中々終了せずにノイズまみれのボイス再生とか、選択肢を選んでも「あーはいはい、キミの選択に意味なんてないから」とループ世界に入ることも。

さらに攻略サイトが役に立たないのも際立っています。
プレイヤーの選択が全てゲーム自体に影響するので、例えば中だしを何回したとか、パスワード解除まで何回失敗したとか、膨大なランダム質問の中から正解したねとか言われます。一辺倒な紙芝居ではなく変化するゲームシステムは、Nitroplusの高い制作レベルを感じさせます。

是非気になった方はプレイして下さいとしか言えない作品になっています。
おそらく選んだ選択肢でかなり変化するし、このゲームとんでもないことにセーブデータが消えたりします。(システム的にセーブが無駄だよといわんばかりに足元から崩されていく)
そして選べるヒロインはどちらか一方のみ。
選んだあとにもう片方をやるには、アンインストールしてやり直せば良いみたいだけど。
あとはチートコードを入れてしまうか。

さて7.0というADVゲームでレビューでは比較的高評価なわけですが、個人的にシナリオ中盤の山場シーンが最高です。
前√で美雪とはハッピーエンドしたし、今度はアオイ√にいくぜ!という普通の√プレイ思考で選択肢を選ぶとあら大変。
アオイ√に入ってラブラブモードになったはずが、何故かアオイの様子が…?アレアレ?これまるで浮気されてるんじゃないですか?NTRされるの?浪漫展開なの?目の前でダブルピースされる展開なの?

選択肢次第では「あんなビッチ知らないぜ、美雪タダイマ」といつでも美雪√に戻れるけども話が全く進まないので、あえて美雪に腹パンいれるような選択肢を選びアオイを信じ続ける感じに進めます。
(美雪はアオイを陥れようとする感じが透けて見える)
そしてついに浮気の現場を突き止め主人公が冷静にお怒り。美雪に復讐の手伝いを依頼して美雪は狂喜乱舞しつつ「これで主人公は私に帰ってくる!」と計画通り展開。

だが主人公の純愛は美雪の想像以上で、「浮気に理由があるなら仕方ない。○○とは未遂だったんだろ?ちゃんとヤってこいよ」と自分のベッドを貸してリターンマッチをさせる。(これは後でわかるけど既にアオイと○○は主人公の妄想通りのことをしていた)
リビングで我慢していたがやはり耐え切れず覗き見をしてしまい、○○の上でアオイがよがり狂うという姿を目撃する。
覗かれているのにアオイも気づき拒絶するも身体はビッチなので果ててしまう。
終わった後、主人公乱入からの上書き↠3P展開が起こり……実はその場面を……というのが中盤の山場。

アオイマジビッチ天使。最 高 だ ぜ !!!!

最後まで意外性があり、システムレベルでのギミックで飽きることがありません。
(最後に片方のヒロインしか選ぶことしかできないのも、面白いと思う)
そして描かれているのは純愛シナリオです。
お楽しみください。

■CGとか
ゲームの迫力や恐怖感という方向でいえば良いと思います。
コンセプトにある要素を訴求したいのであれば、キャラクター魅力を感じないのは致命的でした。
ヤンデレ系としては良いのですけどねぇ…。

■BGMとか
久しぶりに良い楽曲に出会えた気がします。
「永遠の終わりに」
このレビューを書いている間ずーっと再生していました。
良いですねー。いとうかなこさんの「lalalala~」という悲壮感のある声とこの世の終わり的なノイズのような静かな旋律。
こういう楽曲大好きです。

■システム
演出面では凄まじい凝り様です。
セーブすればいいと思ってるの?とか、根底的なレベルでアダルトADVゲームの現状に対して挑戦してます。
公式でSA○O.Zとかいらねーぜ!
CGだけ見るならチートコードを入力しな!
とか言い放つゲームは初めてですしね。
ちなみにそのコードは080 9184 6920

で、オススメなの?と聞かれると悩むのが“ととの”です。
アダルトADVをある程度プレイ経験があって、捻くれた性格の人には強くオススメはできます。
ただ性癖すらも歪んでいるような人以外には、確かに劇薬にもなりかねない扱いの難しい作品だと思います。

私はとっても満足できましたので、色々お察しください。

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