魔法使いの夜 review

何かこう終わったら即レビューする癖がなくなってしまった。
というわけでいまさら感あふれる魔法使いの夜のレビューです。

■魔法使いの夜 / TYPE-MOON
Playtime : 30h
6.5 / 10.0

奈須きのこワールドを久しぶりに堪能しました。
戦闘描写に関しては、他のノベルゲームとは一線を画すものの、長く退屈な日常パートはやや苦痛。
長所と短所が明確に別れた感じがします。

■システム
魔法使いの夜はオーソドックスなノベルゲームに演出面をとても強化したような感じのゲームです。
この“演出面をとても強化”をONにするためにプレイヤーの多くは自分好みのテキスト速度へ調整しないままプレイしたと思います。

というか、文章の表示速度を早く変更しようとすると警告がでます。
こちらが想定している演出がきちんとできなくて、楽しめないよ
という脅しにもにたようなモノが。

これがそもそもこのゲームの評価を上下している要素でもあるという困り者なシステム。
確かに細かく場面のCGが段々と表示され、それと共に文章がゆっくり表示されるのは、奈須きのこが得意とする雰囲気作りには成功はしていると思う。
しかし弊害としてユーザからテキスト表示速度を調整する自由を奪ってしまっているので、苦痛を感じる人が多いのではないでしょうか。(私も苦痛に感じたしね)

評価を下げているのは主に日常パートの部分で、このシステムが悪く作用する。
日常パートで作品の雰囲気にどっぷり浸りながら、作品の中に思いを馳せて優雅の紅茶でも飲みながらプレイしつつ、
「いくぞグレイスン!メッサーウィング!」
とかの貴族階級的な時間の使い方をするならば良いのだけど、多くの日本人はセッカチだと思うので次を早く読みたいと思うんじゃないかと。
そこでこの日常パートが面白いのであれば問題ない。
が、奈須きのこさんは日常パートが面白い作家ではない。残念ながら。
結局このゲームの実に8割を占める退屈な日常パートを強制オートプレイ気味な速度でプレイすることとなり、面白さやシナリオどうこうより
「戦闘はよ。魔法ワールドはよ。Hurry! Hurry! Hurry!!!」
となぜかヘルシングじみた気持ちになる。

評価を逆に上げる要因となるのは、戦闘パート。
魔法の演出。
効果音。
そして出てくるテキスト。
これら全てがマッチする形で、とても面白く読める。
まさにこのシステムは、このためだけに存在していた!と思っても過言ではないほどに。

魔弾をリボルバー式に打ち出す演出は胸が熱くなるし、カッコイイ。
地面に手をついて魔方陣が回転し稼働するシーンなど、スタンディングオベーションも辞さない。

もし魔法使いの夜がほとんど戦闘ばかりの話で、日常2:戦闘8なら恐らく9.0で評価していると思う。
それくらい戦闘の描写に関してはシステムと絡みあって絶大な効果を出している。

が問題は、戦闘描写が全体の2割という点で、そのご褒美を得るためには長く辛い日常パートを死んだ魚のような目で見ないといけないということ。

改善点が浮かばないのだけど、例えばテキストと速度表示を昔のLittleWitchのFFDように速度を変更できたら良いんじゃないかと思う。
(設定画面を呼び出すのではなく、その場で再生速度を自由に変化させる)
そう思うとFFDって秀逸なシステムだったと思うんだよね…。
天狐もLittleWitch系なのか、あの再生速度変化系のスキップがあってよかった。

■シナリオ
さて魔法使いの夜は一本道のノベルゲームなので、選択肢も何もない。
なので全体を通した感想をダラダラと。

魔法使いの夜は、奈須きのこワールドで他作品でも出てくる5人の魔法使いの一人、蒼崎青子が魔法使いに至るまでの話で、今回はどうも全三部作の最初の1つということに当たるようです。
というのを最近、某アニメ2chまとめBlogで知ったわけですが…。

しかしそれも納得という感じの、すっきりとしない終わり方をするのが今作です。
プレイ時間が長いのは前述の強制半オートプレイのおかげです…。
話の盛り上がりはクライマックスの山場が中盤の戦闘シーンの山場に比べると一つ下がる感じがして、それが何ともこの作品の消化不良を感じさせる要因の一つではないのかなーと思います。

というわけで順を追って。

□序盤〜中盤頭まで。
魔法使いの夜は、主人公が二人いる設定なのか青子と草十郎の視点で話が進んでいきます。
それが問題というわけではないのだけど、同じ場面を別視点でということが多々あり少し助長的に感じることもしばしば。
奈須きのこのシナリオは、個人的にはいわゆる“掛け合い”という物が面白いというタイプの作家では無いと思います。
どちらかというと、空間描写(仕草、その場にある静物や空気感)を描くことと、戦闘描写に秀でた方ではないかと。
悪く言ってしまうと、そこまで面白いわけではないヤリトリを何度か見せられるのは個人的にはマイナス要素でした。

□中盤(遊園地でキャッキャウフフパート)
奈須きのこ真骨頂な戦闘パート+システムの演出でとても楽しく読める。
まさに読み始めたら止まらないドライブ感。
作品で一番盛り上がる場面になってしまっているのが、前述のとおり問題といえば問題。
おそらくボリューム的にこちらの方が多いため、濃密な感じがするのだと思う。

□中盤〜終盤まで。
日常パートさんにこんにちわ。
有珠がややデレてきて可愛いというくらいしか記憶にない。
ヒロインがどうみても私の中では、青子より有珠。
是非、草十郎と有珠がくっついてほしい。

□終盤〜END
戦闘パート再び。
しかし何ともあっさりとした感じで終わってしまうというか、盛り上がるのが青子が魔法を使うシーンくらい。
というのもどういえばいいのか、なんかここでの戦闘は遊戯王的というか

「私のターン!ディルドを使って召喚!召喚したプロイキシャーを攻撃表示でターンエンドよ!」
「くく!私のターンだ!」

という感じで、見せ合いっこをする形で進むのだけど、なんというか派手さにかけるというか、遊園地のようなドライブ感がないのが原因かもしれない。
結局、クライマックスなのにイマイチ燃焼不良なまま終了してしまうので、「あれ終わり?」という感覚に陥ってしまった。

トータルで見た場合、いつもの奈須きのこという感じはするのだけど、やはり燃焼不良のままエンディングに行ってしまうために物足りなさを感じてしまうのではないかと思います。
結局これは3部作の1つでしたといわれて、納得ー。という感じ。

■CGとか
こやまひろかずさんの原画のようでかなり好き。
戦闘描写で描かれるエフェクト類も綺麗でカッコイイです。

■BGM
良質なのだけど、そこまで耳に残る物がないという感じ。
EDはSupercellでした。2nd Albumの中に入ってる「星が瞬くこんな夜に」。
すっかり忘れてたや…。

総評をすると、気になっている場合は次回作が出てからでも遅くはないのではないかという感じ。
型月信者でないならば気長に次回作を待ってからが良いのではないかと思います。

“魔法使いの夜 review” への3件の返信

  1. 分かり易いレビュー、ありがとうございます。

    今更ですが、まほよをプレイしようかと悩んでいるので、レビューを検索しこちらのサイトを拝見させていただきました。

    日常パートはどうでもいいので、警告を無視して表示を速くすること自体は可能でしょうか?

    知りたいのは、根源の渦関連、プレイしたいのは戦闘シーンのみですので。

    1. コメントありがとうございまっす。
      全編通して速度変更は可能だったと記憶しています。
      警告も初回変更時だけのはずです( ꒪⌓꒪)
      マホヨ三部作とのことですので、次作を待って…というのもありですが…

  2. 速度変更できるなら、ササッとできそうなので購入しようかと思います。

    次作を待って…は現実的ではないかと。

    三作目が発売されるのに、十年近くかかると本気で思っています。

    「Fate EXTRAが良い試金石になって、Fateの可能性が広がった」とコンプリートマテリアルでコメントしていたので、Fate派生作品を作り続けるのだと思います。

    そのせいでまほよ、月姫リメイク、月姫2が後回しにされているので(-_-;)

    返信ありがとうございました

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